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社労士によくある質問 労働保険・労災保険・雇用保険 ①

よくある質問・FAQ 2024年6月9日

目次

 育児休業から復帰した従業員がいますが、退職を考えていると相談を受けました。雇用保険の基本手当の受給について不安があるようです。
 育児休業給付を受給しましたが、それにより基本手当が受けられないようなことになりますか。

回答: 基本手当の受給資格を判断する場合、「被保険者期間」がどのくらいあるかを確認します。被保険者期間とは、「賃金支払いの基礎となった日数が11日以上又は賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月」を指します。
 一方、所定給付日数(どのくらいの期間、基本手当を受給できるかの日数)を決定する場合、「算定基礎期間」の長さをみます。算定基礎期間とは、「被保険者として雇用された期間」を指します。
 被保険者期間・算定基礎期間ともに転職時の通算ルールが定められていますが、両社は微妙に異なる点があります。例えば算定基礎期間については、受給資格を得たとしても基本手当自体を受給しなければ通算対象となります。
 自己都合による退職の場合、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が12ヵ月以上あることが、基本手当の受給要件となります。
 「離職の日以前2年間」の計算については、一定事由があるときは要件の緩和が認められます。「育児」はその一つに挙げられます。
 つまり、育児休業により30日以上賃金を受けることができなかった期間は、2年に「上乗せ」となります。受給資格の決定に際し、不利益には取り扱われません。
 一方、算定基礎期間の計算に関しては、育児休業給付の規定中に特例措置があります。「被保険者であった期間中に、育児休業給付の支給に係る休業期間がある場合は、当該期間を除いた期間」を、算定基礎期間とします。
 なので、育児休業給付を受給したことのある方は算定基礎期間が短くなるため、所定給付日数が少なくなる可能性があります。

 業務上の災害が発生すると労災給付の手続きをしますが、被災直後で労災からの補償がない待機期間は、会社で労働基準法上の休業補償をしなければならないそうです。
 下請を使う建設業の場合、労災では下請の労働者についても元請が事業主とされますが、会社の労働基準法上の休業補償ではどのように扱われますか。

回答: 労災補償の大部分は、政府が労災法に基づき補償を行いますが、災害発生から労務が提供できない3日間は労働者に休業補償が支給されないので、使用者である事業主が平均賃金の6割を補償しなければなりません。
 数次の請負で行われる建設業については、労災保険では下請に使用される労働者も含め、元請のみが事業主となります(ただし一定規模以上の下請で、元請と分離して労災の保険関係が成立する場合は、それぞれが独立した事業主となります)。
 労基法でも87条の規定により、原則として元請を使用者みなしますが例外があり、下請が補償を引き受ける契約を書面で交わした場合は下請も連帯して使用者となります。もっとも同一の事業で複数の下請がいる場合、それらに重複して補償を受けさせることは禁止されています。

 夫が転勤でマイカー通勤をすることになりました。自分の職場は夫の職場の隣町にあり、朝は送ってもらっていますが、通常の通勤経路から少し外れることとなるので、万が一交通事故にあったときには夫に労災の通勤災害が認められなくなるのではと不安です。
 認められる場合はどのようなケースでしょうか。

回答: 通勤災害の対象になる通勤は、「住居と就業の場所の間等を合理的な経路及び方法により行うこと」とされています。
 何が「合理的な経路及び方法」かは、これまで多くの事例で判断が示されていますが、共働きの配偶者を送迎して通勤することは日常よくあることで、運転する本人の職場に向かう途中に配偶者の職場があり、本人の通勤経路からそれほど離れていなければ合理的な範囲を逸脱しておらず、通勤災害が認められるとしています。
 一方、配偶者の職場が本人の職場より「先の場所」にあり、3㎞程度の距離を迂回する場合について、合理性が認められないとしたものもあります。
 もっとも、これらの判断は距離以外の要素が加味されたものも多く、個別の事情に照らして慎重に判断されます。

 配偶者の妊娠が判明した従業員がおり、10月早々に出生時育児休業を取得する予定です。当社は7月昇給です。
 10月に出生時育休を取得後、間をおいて通常の育休を取得した場合、休業開始前6ヵ月間の賃金の平均額に差が生じますが、通常の育休の取得時に再計算されるのでしょうか。

回答: 子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる出生時育児休業に対し、出生時育児休業給付金が支給されます。
 支給額の算定の基礎となる「休業開始時賃金日額」は、通常の育休と同様で、休業開始日の前日を離職の日とみなし、失業時における基本手当の賃金日額と同じ方法で計算します。
 端的に言えば、休業開始前6ヵ月間の賃金総額(臨時の賃金、いわゆる賞与等は除く)を180で割ります。
 支給要件となる被保険者期間の確認、支給額決定に必要な休業開始時賃金月額証明書の提出などは初回のみ行い、分割取得の2回目以降でこれらの手続きは不要となります。
 出生時育休を取得した際には、これが初回の休業に該当し、続く通常の育休は2回目以降と扱われます。
 つまり、通常の育休を取得した際に再計算はされないという結論になります。

 私傷病で健康保険から「傷病手当金」を受給中に退職します。求職活動ができなければ雇用保険の基本手当は受給できないと理解しています。
 雇用保険制度には「傷病手当」がありますが、離職後にこちらに切り替わるといった仕組みはあるのでしょうか。

回答: 傷病手当金と傷病手当、名称はよく似ていますが離職を機に自動で切り替わることはありません。
 離職後も傷病手当金を継続して受給する場合、「労働の意思」はともかくとして「能力を有する」といえるかどうかの問題があります。
 労災の休業補償給付、その他これに相当する給付を受けている者について、「一般に労働の能力がないもの」と判断するとしています。
 仮に、労働の能力がないとされたとします。傷病手当に関して求職の申込み(受給資格決定)前からの傷病は、傷病手当の受給ができないので、その者の申出により受給期間の延長の措置を行うとしています。
 結論としては、健康保険から傷病手当金を受給しつつ、基本手当の受給期間を延長することとなります。

 当社は小規模な会社ですが、このたび労働保険の成立手続きをしました。知り合いの社長の中には「業務上災害が起きたら、そのときに考える」といって手続をしていない会社もあります。
 後から労働保険を成立させた場合、「成立日以降の補償は労災保険が行ってくれる」という考え方でいいのでしょうか。

回答: 労働者を一人でも使用する事業は労災保険の適用事業であり、適用事業が開始された日に労働保険の保険関係が成立します。
 保険関係成立の届出をしていない場合も、業務上災害に遭った労働者は労災保険の保護を受けられます。
 しかし傷病が重篤な場合、労災保険給付も莫大な額となります。当然、保険者である政府は事業主に対して未届の責任を追及します。
 具体的には「保険給付に要した費用の全部・一部を事業主から徴収する」と同時に未払保険料を徴収します
 費用徴収については、その費用によって徴収率が異なります。成立届の未提出関係は以下のとおりです。
 ①故意→徴収率100% ②重大な過失→徴収率40%
 ①故意とは次のケースをいいます。
・労働局・労基署・ハローワークから直接指導を受けたにもかかわらず10日以内に届出しなかった場合
・労働保険事務組合から勧奨を受けたにもかかわらず10日以内に届出しなかった場合
 ②重大な過失とは、直接指導や勧奨は受けていないものの、1年経過しても未届という状態です。
 徴収の対象となるのは、療養(補償)給付、介護(補償)給付以外の保険給付です。
 「保険関係成立届の提出があった日の前日までに生じた事故に係る保険給付」であって、療養を開始した日の翌日から起算して3年以内の期間に支給事由が生じたものに限られます。
 費用徴収は「支給の都度行う」とされています。

 商店街で自営業をしている人から、アルバイトの申込みがありました。週の所定労働時間は20時間以上となる見込みですが、自営業者も雇用保険の被保険者となるのでしょうか。

回答: 雇用保険は、雇用されている労働者を被保険者の対象としているため、個人事業主や代表取締役などは、原則として被保険者にはなりません。
 また、労働者であっても週の所定労働時間が20時間未満の者や、継続して31日以上雇用されることが見込まれない者、昼間学校の学生なども被保険者としていません。
 しかし、自営業を営みつつ他の事業主に雇われて労働者となるときは、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合、労働者・自営業の収入のどちらが多いかにかかわらず被保険者になるとしています。

 外国人留学生の採用を検討しています。昼間学生は雇用保険の被保険者とならないため、届出などは不要でしょうか。
 高齢者や障害者には、年1回の雇用状況の報告は必要ですが。

回答: まず原則として、日本に住み合法的に職業に就く外国人は、国籍を問わず雇用保険の被保険者となります。
 ただし留学生(昼間学生)は被保険者とならないとしています。
 新たに外国人を採用した場合、労働施策総合推進法に基づく手続きが必要です。
 この法律では、その者の氏名や在留資格、在留期間など「外国人雇用状況」をハローワークに届け出るよう求めています。
 雇用保険の被保険者であるか否かにかかわらず届出は必要となります。
 この届出は新規に採用した場合だけでなく、離職した場合も含まれています。被保険者ではない場合の提出期限は、雇入れ又は離職日の翌月末までです。
 過去には事業所ごとに年1回の報告が必要でしたが、現在は廃止されています。

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